豚がブーブー鳴くのに近い愚行

5月革命について調べるはずが漂流しています。

中国共産党に塩を送る安倍首相

現在の日本の外交や軍事は、安倍首相の主観によって動かされている部分が大きい。安倍首相は日本の根幹を江戸幕府でも明治維新でもなく「英霊」に置く。なぜなら、日本は敗戦によって「普通の国」であることを失ってしまったと考えているからだ。安倍首相は「現在」を1945年につなごうとしている。

 

戦後70年をすっとばす試みは、中国に伝染している。例えば「抗日戦争の元兵士」を見直す動きだ。45年以前に民族独立のために戦った彼らのほとんどは90歳代で、病気や貧困にあえいでいる。こうした人々を助けるための寄付が全国から続々と集まっている。

 

中国にとってもこれは「すっ飛ばし」である。45年から49年にかけては苛烈な国共内戦があった。その後は、大躍進政策や文化大革命という無責任な政策に翻弄された。改革開放によって経済が急速に発展する一方、貧富の差がどうしようもないほど拡大している。

 

これらの歴史をすっ飛ばすことは中国共産党に都合がいい。なぜなら共産党の正当性は抗日戦争にしかないからだ。当時の日本に対する抵抗を「共産党の陰謀だ」などと言いたがる人もいるが、中国人の中で国を救おうと戦いに身を投じた人は多かったはずだ。彼らの国土が実際に外国の軍隊によって侵食されていたことを認識しよう。

 

日本の戦前にまで遡り、こうした抗日の兵士たちに現代の中国人が感情移入を始めれば、中国共産党はにわかに輝きを取り戻す。安倍首相は中国共産党にわんさかと塩を送っているのである。日本が戦後の歩みを自己の立脚点とすれば、中国は敵の姿を見失う。

 

初めに戻ろう。日本は現在、この「すっ飛ばし」へと突き進んでいるが、これはもともと国民の総意ではない。安倍首相の主観なのである。このような歴史観(憲法解釈変更など)は国民に選ばれたものではない。主観で国を動かす人間を指導者としてしまったことは、日本の現代史の「痛い」事実として残るだろう。