純粋なる死刑の情景
死刑にしなければならない人間がいるという。
秩序を守る側からすれば、それもわからないことはない。
だが私たちは皆、ある意味ではすでに罪人である。
私たちは正と誤の間、愛と憎しみの間、行動と非行動の間で揺れている。
そして生を選ぶのは、それは生を信じるからだ。
誤りを選ばないのは、その結果(死刑)が怖いからではない。
だが人は人を殺す。殺すことしかないと思って、殺す。
憎しみによって殺す。
怒りによって殺す。
愛によって殺す。
そこには救われない魂がある。
罪人を殺しても、罪はなくならない。
罪をつぐなうことを教えないから、罪を恐れなくなる。
罪を恐れなくなる先に、死刑がある。
死刑は殺人を正当化する。
殺人を正当化された世界で殺人を犯し、殺した人の数によって死刑を宣告される。
死刑のある世界は死刑に処されている。